【統計学】確率について解説 確率分布、確率測度、確率空間 

確率の基本概念を解説します。確率分布や確率測度、確率空間といった統計学における重要な要素を、具体例を交えながらわかりやすく説明します。

確率 (Probability)

確率は、ある事象が起こる可能性を定量的に表す数値です。通常、確率は 0 から 1 の範囲で表されます。

確率が0とは、事象が決して起こらないことを示します。

確率が1とは、必ず起こることを示します。

確率分布 (Probability Distribution)

確率分布とは、確率空間における事象の発生確率を示す関数です。

確率分布は、確率試行におけるすべての可能な結果に対して、それぞれの結果が起こる確率を割り当てます。

  • 離散確率分布: サイコロの試行のように、離散的な結果に対して確率が割り当てられる場合、離散確率分布が用いられます。
  • 連続確率分布: 連続的な結果(例:温度などの連続変数)に対しては、連続確率分布が用いられ、確率密度関数が使われます。

確率測度 (Probability Measure,P)

確率測度は、確率空間における事象の確率を与える関数P(・)です。特に、標本空間 Sに対して、各事象の確率を定義するためのルールです。確率測度は以下の性質を持ちます。

  1. 非負性: 任意の事象 Aに対して 1 ≥ P(A) ≥0
  2. 全確率: 標本空間全体の確率は 1 である、つまりP(S) = 1 となります。
  3. 可算加法性: 互いに排反な事象 A1, A2,…の和集合の確率は、それぞれの確率の和に等しい。つまり P(A1∪A2∪… )=P(A1) + P(A2) + … が成り立ちます。

例: サイコロの試行における確率測度

サイコロを1回振るという確率試行を考えます。このとき、サイコロの目が出る確率を確率測度 Pとして定義します。

  1. 標本空間 S: サイコロの目のすべての可能な結果 S = {1,2,3,4,5,6}
  2. 確率測度 P: 各目が出る確率
    • P({1})=1/6
    • P({2})=1/6
    • P({3})= 1/6
    • P({4})= 1/6
    • P({5})= 1/6
    • P({6})= 1/6

この場合、確率測度 P は以下の性質を満たしています。

  • 非負性 : どの目も出る確率は0以上です。
  • 全確率 : すべての目の確率の和は1です。
  • P(S) = P({1}) + P({2}) + P({3}) + P({4}) + P({5}) + P({6}) =1
  • 可算加法性: 例えば、「偶数が出る」という事象 A={2,4,6}の確率は、それぞれの目が出る確率の和です。 P(A) = P({2}) + P({4}) + P({6}) =1

確率測度は確率を厳密に定義したものになります。関数P(・)に対して、単に確率と説明される場合も多いです。

確率空間 (Probability Space)

確率空間は、確率を定義するための枠組みで、以下の3つの要素で構成されます。

  1. 標本空間 (Sample Space, S) : すべての可能な結果を含む集合。
  2. 完全加法族 (Sigma-Algebra, F) : 標本空間 Sの部分集合(事象)の集合族。
  3. 確率測度 (Probability Measure, P) : 事象に確率を割り当てる関数で、上記の3つの性質を満たす。

標本空間、完全加法族、確率測度をひとまとめにしたもの(S,F,P)を確率空間といいます。

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